【人魚のモデル】絶滅が心配されるジュゴンってどんな生き物?マナティーとの違いや飼育水族館など詳しく解説!

2021.5.25更新
絶滅が危惧されている「ジュゴン」。一方で生態は意外と知られていません。
日本国内でもジュゴンの生息する海域はありますが、海洋開発によってその個体数はわずか数頭ともいわれています。
世界的にも飼育が少なく、目にすることもめったにありませんよね。よく混同されるマナティーとの違いも含めて詳しく解説していきます!
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執筆:あざらしくん 慶應義塾大学修士課程・薬学専攻・水族館愛好家 学業の傍ら海洋生物の生態を追い求め続けている。 |
人魚のモデル!?ジュゴンの不思議な生態とは?

人魚のモデルはジュゴンなのではないかという説はかなり有名な話です。かつての漁師がジュゴンを見て人魚と見間違えたそうなのです。
ジュゴンって何を食べるの?ジュゴンの暮らしぶり

ジュゴンが主食としているのはアマモという植物です。
アマモは浅瀬に生えているので、ジュゴンの生息地も必然的に浅瀬に限定されています。
ジュゴンはアマモを毎日かなりの量食べます。ジュゴンが通過した痕跡が残るので、ジュゴンを探す際には一つの手がかりになるようです。
また浅瀬に住んでいるため、潜りもあまり得意ではありません。泳ぎもさほど速くないので人間に狙われやすかったのです。
戦後しばらくのあいだは密漁などが相次ぎ、生息数はかなり減少してしまいました。
絶滅が心配されるジュゴンの生息地は?

現在、ジュゴンの生息地はインド洋や西大西洋に点在しています。
世界最大の生息地はグレートバリアリーフのあるオーストラリア近海で、5000頭あまりが生息しています。
全世界的にみると生息数は年々減少しています。しかし2017年にはオーストラリアで良いニュースがありました!
サイクロンで減少した海藻が回復し、それとともにジュゴンの個体数の増加が確認されたのです!
環境悪化のグレート・バリア・リーフでジュゴン増加-National Geographic
この調子でアマモの保全が進めばもっとなじみのある生き物になる可能性もありますね!
沖縄のジュゴンは大丈夫?
実は沖縄でもジュゴンが目撃されています。
米軍基地の建設が進む辺野古沖は沖縄本島でも有数のアマモ群生地で、ジュゴンが少なくとも3頭確認されていました。
しかし、2019年にはそのうち1個体の死亡が確認され、2020年6月現在残る2個体も行方が分からなくなってしまっています。
しかし沖縄にもちょっとしたこのたび吉報が届きました!
波照間島と伊良部島の近海でそれぞれアマモが食べられた跡が発見されたのです!
姿は確認されませんでしたが、ジュゴン生存の証拠になるものなので今後の調査に期待がかかります。
ジュゴン沖縄2島に生息か 海草食べた跡、環境省確認-日本経済新聞
2021.5.25追記
新たに西表島や八重山諸島でアマモを食べた跡が確認されました!
依然姿は確認されていないものの、ジュゴンの生息が示唆される貴重な調査結果ですね。
マナティーとジュゴンの違い
尾びれを見れば一目瞭然!
マナティーとジュゴンはよく混同されますが、実は全く異なる生き物です。
その最大の違いは尾びれにあります。

この写真はジュゴンです。
見てわかる通りジュゴンの尾びれはイルカと同じで鎌のような形をしています。

一方こちらはマナティーの写真です。
マナティーの尾びれはしゃもじのような形になっているのがわかると思います。
マナティーは水草を主食としている点ではジュゴンと同じです。しかし生息域はアマゾンやアフリカ近海とジュゴンとは全く一致しません。
見た目は似ていても全然違う生き物なのですね!
ジュゴンを飼育している水族館

ジュゴンはとても神経質で飼育が極めて難しい生き物です。2020年現在、世界でも2館2頭しか飼育されていません。
そのうちの1頭はなんと日本の鳥羽水族館で飼育されています!
鳥羽水族館の「セレナ」は飼育期間12000日を超えていて(2021.5現在)世界最長飼育記録を更新しています。
水族館王国の日本ならではの大記録ですね!ジュゴンは自然界では60~70歳ほどまで生きるといわれているのでセレナにも是非長生きしてほしいですね♪
マナティーを飼育している水族館

マナティーにはアメリカマナティー・アフリカマナティー・アマゾンマナティーの1属3種がいて、日本の4施設ですべて見ることができます。
飼育施設 | 所在地 | 飼育種類 | 備考 |
熱川バナナワニ園 | 静岡県 | アマゾンマナティー | 1頭・推定55歳 |
鳥羽水族館 | 三重県 | アフリカマナティー | 2頭 |
新屋島水族館 | 香川県 | アメリカマナティー | 2頭 |
美ら海水族館 | 沖縄県 | アメリカマナティー |
まとめ
愛くるしい見た目が人気で知名度の高いジュゴンですが、実は世界でも2頭しか飼育されていない希少種だったのですね。
人間の活動による直接的な個体数減少のほかにも、アマモの生息地の減少による影響もかなり大きいようです。
かつてステラーカイギュウというジュゴンの仲間が新種として発見されましたが、美味であり油も利用価値が高かったことから乱獲が進み、発見からわずか数十年で絶滅してしまいました。
ジュゴンは絶対に絶滅させてはならないという強い思いから現在も保護活動は続けられています。
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