がん細胞は寿命を決める「テロメア」を元に戻せる!?老化とがんの関係とがんを治す最新の研究を紹介!

がん細胞は寿命を決める「テロメア」を元に戻せる!?老化とがんの関係とがんを治す最新の研究を紹介!

正常細胞は細胞分裂するごとにテロメアが短くなっていき寿命を迎えます。しかしがん細胞はある仕組みにより「寿命を回避」しています。

がんがどうして無制限に増えてしまうのかというメカニズムを超わかりやすくイラスをを用いて解説していきますね♪

「テロメア」について知らない人のために超わかりやすく解説しています。あわせてお読みください!

寿命を決めるテロメアの仕組みをわかりやすく解説!どんなに美容や健康に気を使っていても人間は老化してしまう理由とは

がん細胞が成長し続ける理由

正常細胞の寿命をつかさどる「テロメア」

テロメアとは染色体の先端部分を保護している塩基配列および構造のことです。

細胞分裂を重ねるたびにテロメア領域は少しずつ短くなっていきます。

そしてテロメア長が初期の長さの半分ほどまで短くなったときに,DNAの複製ができなくなり細胞分裂が起こらなくなります。

研究の結果人間の細胞の分裂回数の上限は約50回とわかったそうです。(ヘイフリック限界と呼びます。)

この現象が「細胞老化」です。

正常な細胞には寿命があり,年齢が増えるとともに老化した細胞の比率が上昇します。

人間の老化と細胞の老化にはこのような間接的な相関関係があると考えられています。

がん細胞と正常細胞の違い

がん細胞は人体にとって敵ですが,外部からやってきた成分ではありません。もとはといえば私たちの細胞だったものががん細胞に変わってしまったのです。

ではがん細胞と正常細胞の違いはどこなのでしょうか。

発現遺伝子や染色体異常など様々な違いが挙げられますが,がん細胞は無限に増殖できるという特徴を持っています。

正常細胞は寿命があるため,ある種の秩序が保たれています。若い細胞と死にゆく細胞が混在することで細胞の総数がほぼ一定に保たれているのです。

しかしがん細胞は「テロメラーゼ」という酵素を持っていることで無限に増殖できるようになり,体内で腫瘍を形成してしまうのです。

テロメラーゼの機能

テロメラーゼの役割は「細胞分裂の際に短くなったテロメアを元に戻すこと」です。

この仕組みのためにがん細胞は細胞分裂をしてもテロメアが短くなることはありません。

どれだけ分裂しても寿命が来ない=無限に増殖できてしまいます。

がん細胞がどんどん大きく成長してしまうのはこのためなのです。

テロメラーゼのしくみ

ここからはイラストを使って解説しますね。

テロメアの基本知識はすべてこちらの記事でまとめてあります。わからない単語や概念はこちらも参照してみてください♪

DNAを複製すると下図のように5末端が少し短くなってしまいます。ここまではがん細胞も正常細胞も同じです。

しかしがん細胞ではテロメラーゼが豊富に発現しているため,3末端を1単位分伸ばすことができます。

これは建物を建てるときの足場のようなイメージです。

ピンク色部分の足場を起点にしてテロメアの隙間を埋めていったあとは足場を取り払って完成です。

元通り同じ長さのテロメアに戻っていることがわかるでしょうか?

テロメラーゼを持つ細胞

実はテロメラーゼはがん細胞だけでなく,正常な生殖細胞・幹細胞などにも含まれています。

このうち生殖細胞は一般的に「精子」「卵子」のことです。

主に受精のためにしか使わない細胞であるため,そもそもあまり寿命という概念はありません。分裂様式も「減数分裂」という手法をとっているので今回は説明を省きます。

幹細胞とがん細胞は似てる?

幹細胞は体内に小数含まれ他の細胞の元となる親のような細胞です。

通常の細胞をリンゴとすると幹細胞はリンゴの木のような関係です。リンゴの木は長く生きる一方で実は毎年なりますよね。

幹細胞は分裂したときに,通常の細胞になるものともう一度幹細胞として復活するものの2通りの進み方があるのです。

また怪我したときなどには幹細胞の分裂が通常より活発になるという研究報告もあります。

この動きは秩序が保たれているうちは問題視されませんが,もし怪我していないのに分裂が暴走してしまうとがん細胞そっくりですよね。

幹細胞はきちんと制御されている

幹細胞の暴走を防ぐ仕組みの一つに「Wntシグナル」という信号があります。

このシグナルのおかげで幹細胞がどれくらい分裂するかを決めることができているのです。

顧客からのアンケート結果を見て会社がどのようなサービスを展開するか決める「フィードバック」のような関係です。

そして最新の研究ではがん細胞ではこのWntシグナルが暴走している可能性があるということがわかりました。

Wntシグナルを遮断する薬をかけたときにがん細胞の減少などの効果が見られたのです。

このような体内で暴走している信号を遮断することで抗がん作用を得ようという動きが新しく進んでいるのです。

がんと老化の関係

がんと老化は対極の関係?

老化は「細胞が年老いていき若く新しい細胞が少ない状態」と説明しました。

一方,がんは「無秩序に細胞が増殖してしまう状態」です。

これってちょうど対極のような状態ですよね。最近では老化はがん化を防ぐ機構なのではという説もあります。

がんと老化は類似の関係?

一方で,「人間は年をとるとともにがんになるリスクが上がる」という事実もあります。

したがってがんは老化とともに起こる現象なのではないかという意見も根強いです。

がんの研究が思うように進展しないのはこのような背景があるからです。がんをやっつけることで著しく老化が進んでしまうこともあるので一筋縄にいかないのが現実です。

まとめ

少し難しい話でしたが,がんと老化についてでした。まだまだわかっていないことも多く研究も途上です。

がんとはどういうものかを正しく理解することで,がんとの向き合い方も変わってきます。

がんとは人間にとって敵のような存在ではありますが,宿主が死んでしまえばがんも生き残ることができません。

がんが無限に増殖し続ける本当の目的が何かを,人類は日々探しています。