南極にすむ未知の生物,ロスアザラシの生態や貴重な情報大公開!

南極にすむ未知の生物,ロスアザラシの生態や貴重な情報大公開!

ロスアザラシの生態はその全貌がほとんどわかっていません。今回は日本や海外の記事・論文をひたすら読み漁って集めた「ロスアザラシに関する情報」を全公開します!

南極に生息しているあざらし

そもそも存在すらほとんど知られていないロスアザラシ,どんな生き物なんだろう,,,?

南極まじで寒そう

南極に生息するあざらしは全世界のあざらしの実に60%を占めています。南極でみられるあざらしは全部で5種類!それぞれ軽くみていきましょう。

①ウェッデルアザラシ

比較的大きなあざらしです。

氷の下で狩りをすることで知られています。

②カニクイアザラシ

世界で最も個体数の多いあざらしです。名前に反してカニは食べず,オキアミを主食としています。

③ミナミゾウアザラシ

かつて江ノ島水族館で人気を博した「ミナゾウくん」がこの種類です。オスは長い鼻で戦い,勝ったオスが多数のメスをひきつれます。

④ヒョウアザラシ

ペンギンなどを食べる獰猛なあざらしです。

⑤ロスアザラシ

今回の主役です。さっそく詳しく見ていきましょう!

ロスアザラシとは?

image: public domain

ロスアザラシの見た目の特徴・模様

一般的なあざらしは斑点模様が多いですが,ロスアザラシは帯状の模様を持っています。背中側が深い緑灰色で,お腹側が淡い灰色です。

のどからわき腹にかけては明るい帯状の模様が入っています。

アシナガウミツバメさんのスケッチがとても再現度が高いので載せさせていただきました。

そして頭が小さく鼻が短い,後ろひれが長い,他のあざらしよりも毛が短いのも特徴です。

さらに目が直径7cmと非常に大きいのが最大の特徴です。薄暗い氷の下でも獲物を見つけたり障害物をよけるのに役立つといわれています。

分類,祖先など

ひれあし目―アザラシ科―ロスアザラシ属―ロスアザラシ(1属1種)

他の南極あざらし3種(ウェッデルアザラシ,ヒョウアザラシ,カニクイアザラシ)とはいずれも近縁で,祖先はモンクアザラシの仲間とされています。

中新世のころ分化し,南極あざらしの祖先は南の方へ移動しました。そして南極に定着したあと,急速に進化したといわれています。

事実ロスアザラシ以外の南極あざらしは,それぞれ一致する位置と年代で化石が発見されました。

しかし,ロスアザラシの化石だけは,ずっとあとの年代,更新世のニュージーランドの個体のものが発見されたのみなのです。

この事実がロスアザラシを未知のあざらしとさせている一因でもありますね。

ロスアザラシの名前の由来

ロスアザラシが最初に発見されたのは1840年代までさかのぼります。

イギリスの南極探検隊の船長だった「ジェイムズ・クラーク・ロス」が発見したためその名前がつきました。その後も大型砕氷船の登場までは目撃例はほんのわずかでした。

なにやら見たことのない生き物がいるなあ

そして学名「Ommatophoca rossii」ですが,phocaはあざらしという意味,ommatoは目という意味なのです。

つまり前述しましたが,ロスアザラシは目が特徴的なあざらしなのです。

どれくらい生態がわかってるの?

なにしろわかっていないことが多すぎるから,情報をかき集めたよ

様々な計測情報が錯綜していましたが,生態に関してはこんな感じです。

①体重

大人のあざらしに関しては200kgを超える個体が多い

②体長

オスもメスもほぼ体格差なく約1.7m~2.1m

③寿命

推定で20年

④生息地

漂流個体がまれに周辺の島でみつかるが,ほとんどは南極周辺に生息している。分厚い流氷の上を好むことが多い。

⑤主食

イカを最も好んで食べる。他にも魚やおきあみを食べることが知られている。

潜水能力が高く,30分以上にわたって792メートルまで潜ったという記録が残っている。


ロスアザラシがノソノソ歩く貴重な映像がありました。とってもかわいいです!

どんな子育てするの?

繁殖期は11月~12月とされています。

4週間にわたって子育てをしますが,この時期が終わって離乳すると親はすぐに次の性周期に入れるそうです。

その後子あざらしは3~9年で成熟します。

特殊な鳴き声の実態

2種類の鳴き声をもっていて,水中と氷上の両方で鳴けるようになっています。興味深いことに,両方とも口を閉じてのど伸ばして音を出しているのです。

この音は遠くまでよく響きます。「歌うあざらし」とも呼ばれているほどです。

水中では同じリズムで2つの音を同時に重ねて出すことで独特の鳴き声を作っています。どうしてこのように鳴くのかはわかっていません。

味方同士が近づきすぎるのを防ぐ「縄張り」のような役割であったり,逆に広い海の中で異性に出会うための「求愛」のような役割など様々な説が考えられます。

人間との関係

「南極のあざらしの保存に関する条約」によって商業的捕獲は禁止されています。

現時点では人間との接触率が著しく低いため人類の活動による影響は極めて低いと思われます。報告される生息数は78000~220000とかなり幅広いですが,ただちに絶滅などが心配される状況ではないようです。

しかし,ロスアザラシは流氷上で生活する生き物です。

このまま地球温暖化が進行して,南極の氷が減少した場合には直ちに影響を受けます。

地球温暖化でよい影響を受ける種は人間も含めてほとんどいないでしょう。

地球温暖化を食い止めることは種の保護にとって何よりも重要なのです。

まとめ

ロスアザラシについては依然わからないことがたくさんあります。一方で様々な国の情報を統合して,想像以上の生態情報を集めることができました。

ロスアザラシの研究が進んで詳細が解明されるのを期待する気持ちもあります。

一方で,人類との接触を避けてのびのびと暮らしてほしいという願いもあります。世の中には知らない方がよいこともあるでしょう。

いつまでも謎の多きあざらしでいてくれた方がロマンがあるよなぁ,,,

参考文献


日本で見ることのできるあざらしの特集記事はこちらです!