ハーバー・ボッシュ法総まとめ!触媒・反応条件・利点欠点など受験頻出ポイントをわかりやすく解説!

ハーバー・ボッシュ法総まとめ!触媒・反応条件・利点欠点など受験頻出ポイントをわかりやすく解説!

ハーバー・ボッシュ法はアンモニアの工業的製法として受験頻出です!

今回は反応条件・触媒・利点欠点など特に受験で聞かれることが多い項目をわかりやすく解説していきます!

ハーバー・ボッシュ法とは?

「N2+3H2→2NH3

ハーバー・ボッシュ法は窒素と水素からアンモニアを生成する工業的な精製法です。

【要点!】反応条件

ハーバー・ボッシュ法は低温高圧条件で行われます。

どうしてこのような条件になるのか詳しく見ていきましょう。


「N2+3H2→2NH3

この反応では比率的に窒素1分子と水素3分子がアンモニア2分子へと変化しています。

反応前は窒素と水素合わせて4分子あったものが反応後には2分子になっていますね。

気体分子が減っているということは反応後の方が気体の圧力が小さくなっています。

従って圧力を高くすることで、圧力が低い方へと変化しようとしますから反応が進行しやすくなるのですね。


またハーバー・ボッシュ法は「発熱反応」です。反応に伴って熱が発生します。

従って温度が低い方が反応が進みやすくなります。ただし低ければ低いほど良いというわけではありません。

温度が低すぎると分子の運動エネルギーが小さくなり気体分子同士の衝突が減ってしまいます。つまり反応効率が低くなってしまうのです。

従って低温といっても約500度くらいのかなり高い温度で反応させているんですよ♪

この問題を解決してくれるのが触媒です。

ハーバー・ボッシュ法では低温高圧条件で反応が進行しやすい!

【要点!】触媒

ハーバー・ボッシュ法の触媒は四酸化三鉄です。

窒素も水素も常温常圧では極めて安定な物質なので、混ぜただけでは反応は進行しません。ですので触媒が必要なのです。

生成したアンモニアは「オストワルト法」で硝酸へ変換されます。この時の触媒は白金ですね。

この2つは受験で頻出なのであわせて覚えておきましょう!

【覚え方】

ハーバーの鉄、オストワルトの白金で勝算(硝酸)あり!

【要点!】メリットとデメリット

ハーバー・ボッシュ法のメリットはなんといっても身の回りにありふれている窒素からアンモニアを合成できる点です。

窒素肥料などにも応用できるため,農業的な面でも功績はかなり大きいです。

一方でデメリットも指摘されています。ハーバー・ボッシュ法は「窒素固定」というものです。

空気中にありふれている窒素を肥料などの形に変えることで地上に固定することからこう呼ばれています。

従ってNOX(窒素酸化物)などの環境汚染物質を大量に排出しているという指摘があるのです。

また使用するエネルギーも莫大であることから間接的に地球温暖化などの問題の原因になっていることは否めません。

画期的な発明?ハーバー・ボッシュ法の歴史

ハーバー・ボッシュ法はフリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが1906年に発明しました。

アンモニアから硝酸を生成するオストワルト法はすでに発明されていたため、ハーバー・ボッシュ法の発明により一連の流れが完成したことになります。

当時、産業革命とともに人口は拡大を続けていたため慢性的に食糧不足に悩まされていました。

そこで窒素肥料を作ることができるようになり小麦の栽培がとても効率的にできるようになったのです。

現在のような技術の進歩はハーバー・ボッシュ法なくして起こりえないことなのでとても大きな発見ですね。

かくして1918年にノーベル化学賞に輝いています。

一方でオストワルト法との合体により硝酸の大量生産が可能になりました。これにより火薬・爆薬の生産が容易になり第一次世界大戦の犠牲者を増やす結果となってしまいました。

また近年では環境汚染も指摘されています。21世紀の新しい方法を考案する必要があるのかもしれません。

ハーバー・ボッシュ法に代わる最新技術

リンとモリブデンを用いた錯体が触媒となる反応が研究されているそうです。

この反応では窒素ガスと電子、水素イオンが反応しアンモニアになるということで、最大のメリットは室温で反応が進行する点です。

環境汚染の原因となる二酸化炭素などを排出せずに済むほか、もし実用化されれば大幅なコストダウンにもつながるそうです。

研究が進みクリーンなアンモニア合成が可能になる時代が来るといいですね!

研究の詳細はこちらから確認できます。

ハーバー・ボッシュ法に代わる次世代型窒素固定法の開発
―常温常圧の温和な反応条件下でアンモニアを合成―

まとめ

・触媒は四酸化三鉄

・反応条件は低温高圧

・農業に革命を起こし食糧不足を解決した

・一方で戦争利用や環境破壊などの問題点もある

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