【解説】同位体と同素体の違いをわかりやすく解説!具体例と特徴まで詳しく紹介!

化学を学習していくうえで必ずといっていいほどぶつかる「同位体と同素体」の違いを徹底的に解説していきます!
同素体ってなんだっけ?
どっちが同位体でどっちが同素体だったっけ?
こんな疑問を抱えている方、当サイトを読めばしっかり理解できてもう迷うことはありません!
同位体って何?
同位体とは「同じ元素のうち中性子の数が異なるもの」のことを指し、別名を「アイソトープ」と呼びます。
少しわかりにくいと思うので「炭素」を例に解説しますね!
炭素は原子番号6番の元素で、通常は陽子が6個、中性子が6個の電子核から構成されています。
しかし自然界にはごくわずかな比率で陽子6個、中性子7個の炭素というものが存在しています。
大半を占める前者は正確には12Cと表現する一方で、陽子6個、中性子7個の合計13個からなる炭素は13Cと表現しているのです。
同位体は通常化学的性質がほとんど変わりません。その一方で原子レベルのミクロの測定では違いを検出できるため、化合物の標識(マーカー)として使われることもあります。
放射性同位体とは?
不安定な同位体は時間とともに崩壊し、同時に放射線を放出します。
このような同位体のことを放射性同位体と呼びます。3H水素や14C炭素がその例です。
崩壊するスピードは様々で、その違いは半減期としてあらわされています。
同位体の例
ほぼすべての元素で多かれ少なかれ同位体を持ちうる可能性があるため、有名なものを紹介します。
炭素の同位体
炭素の同位体は主に12C、13C、14Cがあげられます。自然界に存在する二酸化炭素CO2の炭素の同位体の存在比は1:10-2:10-12となっています。
この3種類は安定ですが、他にも9C~16Cが確認されていて放射性同位体となっています。
特に14Cの半減期は約5700年です。この特性を利用して放射性炭素年代測定が行われています。
生物は生きているうちは常に大気と体内を14Cが行き来しているため、存在比は大気と等しいです。しかし死んだ瞬間からは行き来がなくなり、新たに14Cが体内に入ることはありません。
従って化石の14Cがどれだけ減少しているかを半減期である5700年と比較することで、生きていた時代がわかるのです。
水素の同位体
水素には主に1H、2H、3Hの3種類があります。
2Hは重水素と呼ばれていて、自然界にもごくわずかですが存在しています。
ほぼすべての化合物には水素が含まれているので、特定の水素を重水素に置き換えて化学反応させた結果、どこへ重水素が移動するかを特定することができます。
従って反応の過程を調べることができるのですね。
塩素の同位体
塩素の原子量は35.5であると学習したことがある人も多いかもしれません。なぜ塩素だけ整数じゃないの?と不思議に思うはずです。
実は塩素にも同位体があります。35Clと37Clの自然界の存在比は3:1!
従って平均すると塩素の原子量は35.5となるのですね。
複数の同位体が多く存在する珍しい例です。
同素体って何?
同素体とはずばり「同一かつ単一の元素から構成される物質のうち物理的、化学的性質が異なるもの」です!
このような性質の違いは原子間の結合様式の違いや結晶内原子配列の違いなどによって引き起こされています。
同素体が存在する元素のうち特に有名なもの【硫黄・炭素・酸素・リン】は元素記号の頭文字をとって「SCOP(スコップ)」と呼ばれています。
それぞれの特徴を次の章で紹介していきますね!
同素体の例(SCOP)
硫黄(単斜硫黄・斜方硫黄・ゴム状硫黄)
硫黄には主に3種類(ゴム状硫黄・単斜硫黄・斜方硫黄)があります。
常温では斜方硫黄が安定となり、ある程度高温では単斜硫黄が安定となります。
硫黄を高温に保つと黄色透明なゴム状硫黄となります。
炭素(ダイヤモンド・黒鉛など)
炭素は様々な同素体が存在し、様々な様態をとります。
有名なのはダイヤモンドですね。炭素が規則正しく積み重なった構造をしていて、美しい宝石となっています。
一方で同じ炭素のみからできていますが、繋がり方が少し変わるだけで黒鉛になってしまいます。よく、「ダイヤと鉛筆の芯は同じ」という話を聞きますが、これのことなのですね♪
他にもカーボンナノチューブやフラーレンなど様々な同素体があります。
酸素(酸素・オゾン)
通常酸素は2原子が集まって安定な酸素分子として空気中に存在しています。この酸素は当たり前ですが無色無臭ですよね?
一方で酸素原子3つからなるオゾンはほんのり青みがかっていて特有の刺激臭があります。
私たちを紫外線から守ってくれるオゾン層ですが、酸素とこんなにも違う性質を持っているのですね♪
リン(赤リン・黄リン)
赤リンは文字通り赤色の粉末でマッチの原料として使われます。
一方で対比的によく登場するのは黄リンです。しかし長年同素体とされてきた黄リンですが、様々な不純物を含んだ結果黄色になっているため実は厳密には同素体ではありません。
そのほかにもリンの同素体はたくさん存在します。白リン、黒リン、紫リン、紅リンなどです。そしてその特徴も様々です。
例えば白リンは空中で自然発火してしまうため水中で保存します。黒リンは最も安定であり、半導体のような性質を持ちます。
まとめ
いかがでしたか?
同位体と同素体は名前は似ていますが、実態はまるで異なります。
それぞれの具体例を覚えておくことで、どんな性質のものだったか覚えやすくなりますよ!
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